先月の関西旅行の最終日、私と夫は神戸におりました。
ちょうどお昼時だったので南京町で中華料理を食そうと、イイカンジ(棒読み)の店を探しておりました。
・・ここいいんじゃない?な店を発見するも、もそっといいのはないかと更に歩を進め、途中雑貨屋さんで買い物をしつつ炎天下の南京町を歩いておったのでした。
なかなかコレという店はないね。さっきのがやっぱりいいね。
ということに相成り、私たちは来た道を引き返したのでありました。
・・と、前方に人だかりがあります。
ちょうど私たちが入ろうと思っていた店の前辺りに、大きなライトやクレーンが出現しているのです。京劇の衣装を来た役者さんらしき人も見えます。
さっきは無かったよね。なんだろね。
そう言いつつその店に行こうとした私たちの前に二人の警備員さんが立ちふさがりました。
「ダメダメダメ!!」「通行できませんっ!!!」
彼らは大声で怒鳴りつつ通せんぼをなさるのです。
周囲を見渡せば、私たち以外の方はその場で止まっておられます。
よくよく見れば(んなもん一回見れば分かるってもんだけど)結構な人数の観光客もしくはお昼を食べに来られた人々が全員足止めを食らっているのでした。
「どういうこと?私たちあの店に行きたいんだけど」
静かな声で訴えてみました。
「あー、ダメですダメダメダメ!!撮影だから」
「じゃどうしたらこの先に行けるの?」
「ダメダメダメです、ここで止まって待っててくださーい!!」
警備員の兄さんは、ダメダメダメという言葉がいたくお気に入りのようです。猛暑の中の警備、苛立ってもいるし疲れてもいるでしょうが、それにしてももそっとちゃんとした言い方が出来ないものか。
「待てって、いったいどれくらいかかるわけ?」
「わかりません、自分は関係ないから」
「(゚Д゚)ハァ?」
何が関係ないんじゃあ!!ここで止まれって言ったのはアンタじゃないかあ!!!と怒鳴りたいのをこらえていると、夫が
「ボクたちあの店に行きたいんですけどね、ちょうどあの辺です。(と、その方向を手で示す)どこか迂回する道ってあるんですかね?」と穏やかな声で訊ねました。この人はとにかく怒らない人なので、いっつもこの調子です。
しかし警備員氏は指し示すその方向を見もせずに「ダメですダメダメダメ」の一点張りであります。夫は諦めて、もう他の店にしようよ戻ろうよ、なんて言うのです。
このまま黙って引き下がるのがダメダメダメな私は不満いっぱいであります。いえね、いいんですよ通れなくても。どうしてもその店で食べなきゃダメダメってわけでもないし。
ただね、スミマセンの一言もなくいきなり通せんぼ、何を聞いてもダメダメの一点張りじゃ納得できないでしょ!って話です。
「やー、悪いねー、ここ今撮影中だから通れないんすよー」とかなんとか言ってくれたら気持ちよく「あいよっ!」ってなもんですよ。
だいたいね、私は「撮影中だからアンタら一般人は通れないよ!」というこの芸能界的似非選民思想が大嫌いなんです。
甲州街道を勝手に止めてみたり、数年前なんぞはウチのすぐそばでドラマの撮影をするってんで、物音を立てるなと言いに来たTV局もあったわけで。洗濯も掃除も遠慮しろ、なんてそんな馬鹿なハナシがあるかいな。
おまえらもう少し常識をわきまえろ、と言いたいわけです。
そうそう、神戸に話を戻そう。
仕方なくもと来た道を戻ろうとした私たちに、件の警備員氏が言い放ったのです。
「映画の撮影、タダで見せてもらえて有り難いと思えば?」
何ぃ〜〜〜〜??????なんだとーーーー!!!??
有り難いだと?タダだとーーー!!!?
たとえこの南京町で撮ってる映画が武ちゃんの出てる中国映画だとしても、見せて「もらう」とはなんだ!!「タダ」とはなんだタダとは!!「有り難いと思え」とはなんだ!!!どついたろかコラ!!!
夫が激怒した私を引きずるようにその場を離れたので、修羅場は避けられたものの、私は別の店に入るまで怒りが治まらなかったのでした。(空腹も怒りを増幅させます)
で、なんで今頃こんなことを書いているのかと言えばですね。
つい昨日その「撮影してた映画」とやらをTVで見たからなんです。
映画なんかじゃなくCMでしたけどね!!
家族間通話が無料だとかいうCMで、何故かお父さんが犬のアレですよアレ。あの最初のシーンで、これもまた何故か外国人のお兄さんがケータイで喋りながら中華街を歩くってのがありましょう?あれあれ、あの中華街があの日の神戸南京街なんであります。
これだーーーっ!!京劇の格好した人もいるーーっ!!これのどこが映画なんだーーーっ!!!と画面に向かって吠えている私に、夫が一言
「上戸なんとかちゃん見たかったね〜♪」
ああ・・・・ダメダメだ・・・・・