土曜日に公開された『ウィンターソング』をようやく今日観てきました。
客の入りが悪い、ガラガラだった、などという話もちらほら聞きましたが
平日火曜日・しかも明日はレディスデーという本日・・・
新宿の映画館は結構な人が入っておりました。
このところ、神妙に「愛」について考えているワタクシなので
今回は武迷であることを忘れて、無心で素直に観ようと決めました。
人が過去を振り返る時を巧く表現してるなあ、というのが最初の感想。
過去を引きずるとか過去にとらわれるとかいう言葉がありますが
ニンゲンそういつもいつも過去のエピソードにくるまれて生きているわけではない、
と思うのです。実際のところは。
何かの瞬間にフラッシュのように、過去の出来事や想いや言葉が現れる。
現実の只中に居ながら、ふっと自分が過去に呼び戻される。
現在と過去が、まるで映画の1シーンのように現れては消えていく。
そんな1シーンを、実際の映画で見せてくれた・・・と思いました。
男は女よりもずっと純情で繊細でココロ優しい、と私は昔から勝手に思っているのですが
武ちゃんの演じたのは、まさにそんな「男」そのものだったのかもしれません。
裏切られる、戻ってくる、さらに手ひどく裏切られる、傷つけられる、待つ
戻らない、それでも待つ、時は過ぎる、待つ、心のなかに何かが生まれる、育つ
諦めようとする、諦めきれない、眠れない、それでも待つ・・・
再会する、もどかしさに苛まれる、手が届かない、期待する、裏切られる
思いを吐き出す、拒絶される、歩み寄る、裏切る、突き放す、戻る、請う、離れる・・・
それでも後に残るのは、やっぱり「愛」
言葉やカラダでは表現出来きれなくて流れる涙。残る想い。
ラスト近くに
「愛は終わっても存在する」という一文が出てきて
ここで私は静かな感動に包まれました。
そしてそれに続く言葉が
「おそらく、これこそが愛(如果、愛)」
これをもって、武ちゃんの演じた男の想いが完結したのだろうと思う。
もちろんあくまでも映画の上では、だけれど。
男と女のいうところの「愛」には後日談がつきものなので云々・・と言ってしまうと
また私の悪いくせ(ストーリーや科白にいちゃもんをつけるなど等)
が出ちゃうので言いませんけどーw。
それにしても理屈抜きに美しかったのは武ちゃんでした。
そして
結構いい線言ってたじゃん彼の歌声。
男の目と声に弱いワタクシにとっては、たまらない映画でありました。
音楽も良かった。
ピアノが流れてくるたびに、譜面が頭の中をぐるぐる廻っておりました。
久しぶりにまっさらな気持ちで観た映画でしたが
しみじみとした余韻が残りました。涙は出ませんでしたが。
もう一度映画館に出かけて行ってもいいなぁ。
いつまで上映してるか分からないけど。
そういえば娘が「一緒に観にいってあげてもいいよ」と言ってたっけ。
でも彼女には理解できないだろうなぁ。
これはオトナの愛を知ってるか知らないか、踏み絵のような映画かもしれないから。
一度も恋をしたことのない、彼氏のひとりも出来ない娘には無理だろうなぁ。わははー。